| 元気の出る館 ＞ 神秘的なサイエンス ＞ 老化と活性酸素の話 |
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以前は成人病といわれていた高血圧や糖尿病などの病気が、いまや若い世代にまで広がりつつあるのは、 それだけ活性酸素ができやすいことを示しています。
けれども老化はそれほど単純なものではなく、生物体の老化には、さまざまな要因がからんでいると考えられています。 生まれながら老化のプログラムが組み込まれているという生物時計説、老化のプログラムは遺伝子情報に組み込まれているという
DNA説などが議論されています。 また細胞は一定の回数以上は生まれ変われない、つまり細胞の継代には限界があるということもわかってきました。 あらゆる生命体は子孫をつくりながら世代交代を繰り返し、種としては生き続けていくことはできても、個体としてはある限界以上、生命活動を続けることはできない宿命を持っている。一九八〇年に、アメリカ国立老年研究センターのR・カトラ一博士が、発表をしました。「霊長類の中で、酸素の消費量が少なく、一方、酸素の毒性を消す能力の大きいものほど長生きである」動物の最大潜在寿命は、活性酸素を消去する抗酸化作用のある酵素をどのくらい持っているかということと深い関係があることが明らかにされています。つまり寿命のプログラムをフルに活用できるかどうかの鍵は、活性酸素とその働きを抑える酵素の力関係、つまり抗酸化システムが握っているというわけです。そのシステムがうまく働き、活性酸素の害を上手に抑え、伝染病やウイルス感染などを免れたとすれば、人はいくつぐらいまで生きられるのでしょうか？。
活性酸素は遺伝子も破壊してしまうことがわかってきています。
抗酸化作用のある食べものを上手に取り入れた食生活などで遺伝子の破壊を防いだり、あるいは破壊された遺伝子を修復することができるようになれば、人間の寿命はさらに延びる可能性があると推測されています。では、活性酸素とはどんな酸素なのでしょうか。
普通の酸素とはどこがどのように違うのでしょうか。この世界を形づくっている物質は、原子という単位から成り立っています。この原子をさらに細かく観察すると、叫個の原子は、陽子というプラスの電荷を帯びた微粒子のまわりを、マイナスの電荷を帯びたいくつかの電子がぐるぐると回転することによって成り立っています。物質が形を維持しているのは、物質の中で、このプラスの陽子とマイナスの電子が同じ電荷量で釣り合い、バランスを保っているためです。
電子は普通、一つの軌道に二つずつ対をなして回転しています。ところがときどき、対を成しておらず、一つの軌道に電子が一つしか存在していないものができてしまうことがあります。この独りぼっちの電子を「不対電子」と呼びます。不対電子はペアを組む相手が欲しいため、すでにペアを組んで安定している分子から電子を一つ奪って、安定しようとします。この独りぼっちの電子、専門的にいえば、不対電子を待った不安定な酸素、分子構造に歪みのある酸素が活性酸素なのです。こうしたことから、不対電子を含んだ原子や分子は他の物質と結びつく性質が強くなります。そうしたものを給称して、「フリーラジカル」と呼んでいます。フリーは遊離、ラジカルは過激、乱暴者という意味ですから、フリーラジカルとは、「勝手きままな暴れん坊」というような意味になります。以下次号にて |
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活性酸素の種類の話
厳密にいえば、活性酸素には次の四種類があります。
①スーパーオキシドラジカル
②ヒドロキシルラジカル
③過酸化水素
④一重項酸素
酸素分子の化学式はＯ2と書くように、酸素は二個の原子が結合し、分子を形づくっています。酸素原子の中心、原子核のまわりに電子がペアを組んで軌道をまわっている状態が、安定した酸素分子の構造です。このように同じ軌道をまわる電子が対になり、安定している酸素を非ラジカルといいます。
ところが何らかの理由で、同じ軌道をまわる電子の数が異常になってしまうことがあります。
①のスーパーオキシドラジカルは、核から数えて四番目の軌道に外部から電子が一つ入り込み、その分だけ電子が余分になってしまった状態です。
②のヒドロキシルラジカルは、酸素分子が分裂してニつの原子に別れてしまい、それぞれの原子の核から五番目の軌道に電子（水素）が一つ入り込んでしまった状態です。
③は、Ｏ2の両方の酸素原子の核から四番目の軌道に、外部から一つずつ電子を取り込んでしまった状態です。
④は、Ｏ2の一方の酸素原子の核から四番目の軌道に、他の酸素原子の核から四番目の軌道をまわっていた電子が入り込んでしまった状態です。
四つのタイプの活性酸素は、どれも体にはマイナスの働きをし、害をもたらしますが、タイプによって害のもたらし方が異なります。①のスーパーオキシドラジカルは、ある意味で最も一般的な活性酸素です。人の体内で最も大量に発生するのもこのタイプです。 |
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