原子力発電のしくみと不思議（核分裂とは）
物質を構成する最小の単位と考えられたのが原子です。
十九世紀の初めにイギリスの科学者ドルトンが、すべての物質はごく小さな粒子から成っていると考え、これを原子と呼んだ。
たとえば水素は水素原子から、酸素は酸素原子から成っている。
ドルトン以後、原子は物質の最小単位ではなく、もっと小さな粒子がいくつか集まってできていることがわかった。それによると、原子は中心に原子核というものがあって、その周りを電子が回っている。原子核は陽子という粒子と、中性子という粒子から成っている〈中性子がないものもある）。陽子の数がいくつあるかで、なんという元素であるかが決まる。たとえば水素の原子核は、陽子一個でできている。
水素原子は、一個の陽子の周りを一個の電子が回っているという構造になっている。原子によっては、陽子の数は同じだが、中性子の数が異なっているというものがある。これは同じ元素のグループと見る。たとえば、ウランという元素のグループであるが、このグループにはウラン235とかウラン238といったものがある。
このように、元素としては同じだが、中性子の数が異なるものを「同位元素」と呼んでいる。原子核が壊れることを核分裂と言う。ウラン235の原子核は、外からきた中性子を吸収すると、不安定な状態になって、いくつかの別の原子核に分かれる。これが核分裂です。核分裂でできた新しい原子は猛烈なスピードで飛び去ろうとするが、結局、動きがとれなくて、飛び去ろうとするエネルギー、すなわち運動のエネルギーが熱に変わる。こうして、膨大な熱エネルギーが出るのです。ウラン235が核分裂すると、二～三個の中性子が飛び出す。この中性子が別のウラン235の原子核に吸収され、その原子核が核分裂する。このようにして核分裂が続いていくことを「連鎖反応」と言います。
ドルトン
一八〇八年に生まれたイギリスの化学者・物理学者。ドルトンは、質量保存の法則や定比例の法則を説明するために、原子説を発表した。
彼の説によれば、原子は次のような性質をもつ。
①すべての物質は、原子という小さな粒からできている。
②同じ元素の原子は、大きさや重さがまったく等しく、元素がちがうと原子の大きさや重さもちがう。
③ある元素がほかの元素の原子と化合して化合物をつくる。
④原子はこわれない。したがって必ず整数個ずつ結合しなければならない。
以下次号にて |
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