神秘のサイエンス > 心と身体のつながりの話

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心とからだをつなぐルートといえば、まず思いつくのが神経ではないでしょうか。
一般的に考えられるように、心が脳にあるとすれば、神経は心と体をつなぐ電線ということになります。 「無神経」「神経痛」「神経が太い」「繊細な神経」等、心や精神の意味で使ったり、痛みを起こす肉体的な部位として使われたりします。神経というのは正確には、神経細胞とその神経細胞から長く伸びる軸索と呼ばれる電線のようなもの、さらに比較的短く枝のように伸びている樹 状突起を基本的な単位としています。
神経細胞はほかの体の細胞と違って、一度壊れるとよみがえることがありません。

残っている細 胞を使っていくしかないのです。実際に神経細胞は一日に五万とか十万個減っいます。しかし、それでも普通の人がぼけたりしないの は、人間の脳は数パーセントしか使われていないという学者がいるくらい膨大な数の神経細胞があるからで、その程度の減少では、さしあたって困らないのです。ぼけの代表的な病気であるアルツハイマ−型痴呆では、神経細胞の減っていくスピ−ドが異常に速いので問題となって いますが・・・

神経細胞が壊れても日常生活をやっていけるもうひとつの理由として、神経細胞の持つ「不思議な法則」があります。神経細胞は単一では減数 するのですが、樹状突起でネットワークを作ってその密度を増やすというやり方で、全体として発達するのです。神経細胞は数の問題ではなく、そのネットワークが大切な機能になってきます。また、心経細胞は脳の表面と真ん中あたり、脊髄の一部にあり、脳 や脊髄に均一に広がってい るのではありません。このため脳卒中などでは、脳の障害された場所によって、症状が全く違ってきてしまうのです。手足から脳へ情報を送る感覚神経、お風呂の温度が熱いとか、手や足の関節がどれくらい曲がっているのかなど、いわゆる五感に関する 情報を脳へ送り込んでいる神経 です。こういう感覚的なものではなく実際に手足を動かせという命令を伝えるのが運動神経です。脳から発信された信号をすばやく各部位の筋肉まで伝えるもので、この素早さが運動能力の優劣にかかわっています。

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（勝手にコントロ−ルされる？自律神経）について

神経にはもうひとつ自立神経があります。これは簡短に言えば、たとえば心臓の鼓動の ように、自分の意志とは関係なく体が勝手にコントロー ルしている神経です。
心臓や胃腸にいちいち動けと命じている人はいないわけで、そういう意味では、まさに自律しているのです。この自 律神経には大きく分けて二種類あります。
ひとつは交感神経です。人は興奮すると血圧が上がったり、脈が速くなったりという反応を示し ますが、そんなときはこの神経がドキドキしているのです。医者の前に行くと血圧が急に上がる白衣性高血圧症と呼ばれる人は、まさにこの交感神経が興奮しているわけです。もう一つの自律神経である副交感神経は、交感神経とは反対の作用を持っています。脈を遅くして、体をリラ ックさせるのです。

この二つの神経をうまくバランスさせことが自律神経の働きになります。
どちらが良い神経ということではありま せん。二つのバランスが非常に大切なのです。
よく聴く自律神経失調症というのは、交感神経と副交感神経のバランスが乱れた状態をいい ます。例えば、人前でいつもドキドキして、顔を真っ赤にするような人は、交換神経が過敏になっている人です。たくさんの人の前で話さなくてはいけないと思うと、急におなかが下痢気味になってしまう人。これは副交感神経が過敏になっている証拠でしょう。このように、どちらか の神経の作用が強く出て、交感神経と副交感神経のバランスが悪くなった状態を自律神経失調症と呼んでいるのです。この自律神経失調症という病名は、頭痛、めまい、腹痛などさまざまな症状をもち、病名として特定しずらい患者さんに安易ににつけられてしまいがちですが、実際には難しい複雑な病気なのです。
次回は情報の乗り換えをする神経伝達物質をお送りします。

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