人間の神経系は非常に複雑ですが、その中で現代病との関連で注目されているのが自律神経です。
自律神経失調症といった病名をよく聞きますが、その自律神経です。
自律神経は、いろいろな臓器や器官の機能を調節(呼吸、脈拍、血圧、体温、発汗、排尿、排便)しています。
つまり、人間の意識ではコントロールできない分野を自律神経は扱っており、人間の意識から自律しているという意味で自律神経と名づけられています。
寝ていても気を失っていても、内臓は機能し、呼吸や血圧や体温は、ある適切な状態に保たれて、動かそうとしなくても動いているものだし、停止してしまうのを自分の意思では止めることもできないもの。
その動きを自律神経は、休むことなくコントロールしている。
自律神経失調症というのは、この臓器や器官をコントロールする機能がうまく働かない状態をいいます。
内臓には何ら異常は見つけられないにもかかわらず、どこか具合が悪いといったときに「自律神経失調症」と診断されるのが現状で、何ともあいまいな病気なのです。
症状としては、疲れやすい、 めまいがする、頭が痛い、血圧が安定しない、動悸がする、胸が苦しい、食欲不振、吐き気、便秘、下痢、肩凝りといったものが複合的に現れ
てくる。最近になって、自律神経は意識から 独立しているのではなく、精神状態の強い影響を受けているということが言われ始めた。自律神経を意図的にコントロールすることは難しくないと言い切る人もいます。
確かに、仙人といわれるような人やヨーガの達人になると、長時間呼吸を止めたりすることを、いとも簡単にやってしまい、自律神経を意思でコントロールしてしまうようです。
自律神経を自由にコントロールできれば、自分の感情も自由に操ることができ、怒りを感じたらそれを鎮め、不安も瞬間的に一掃できます。
いつも幸福な気持ちでいられるわけです。それが難しくないという。その鍵は呼吸にある。
自律神経がコントロールしている機能のうち、唯一自分の意思が通じるのが呼吸です。
長時間止めるという超人のようなコントロールはできないまでも、深い呼吸をしようとか、浅くしようといったレベルのコントロールなら誰もができてしまう。
これが重要で、 怒りを感じているとき、あなたの呼吸はどうなっていますか。
深く長い呼吸をしながら怒っている人はいるだろうか。そんな人はいないはず。
短く浅い呼吸で、体をわなわなと震わせながら怒りを表現しているはず。
☆ 不安で仕方がないときはどうだろう。
ゆったりとし た呼吸ではなく、怒りのときと同じように短く浅い呼吸になっているはず。
それに合わせて、心臓の鼓動が速くなったり、血圧が高くなったり、胃が痛くなったり、このときに、自分の意思で、深呼吸を何度も繰り返したらどういうことになるでしょう。
怒りが治まる、不安が少しずつ解消されていくはずです。心臓の鼓動も普通に戻り、血圧も正常になり、胃の痛みも和 らいでいく。
これは自分の意思で自律神経をコントロールしたことになる。このことを知ってしまえば、自分の感情も呼吸ひとつでどうにでもできてしまう。
このことは、健康と大きなかかわりを持つことになり、マイナスの感情は、ストレスに代表されるように、確実に 肉体を蝕む。人を憎んだり、妬んだり、悲しんだり、不安を持ったり、イライラしたり、怒ったりすることは、できるだけ避けるのが健康法の基本です。
いつも明るく、楽しく生きていくのが健康のもと。何か怒りを感じているなと思ったら、自分の呼吸をチェックする。
間違いなく短く浅い呼吸になっている。そんなときは、自分の意思で深呼吸を何度も繰り返す。
いつの間にか怒りは治まり、豊かな気持ちに変わっているはず。
たかだか呼吸と思われがちですが、呼吸は自律神経との唯一の連絡手段で幸せであるのも不幸せであるのも、すべて呼吸にかかっています。
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