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心と身体のサイエンス > 本能と潜在意識の話
人はこの世に生れ出るとすぐにオギヤーと叫びながら呼吸を始めます。やがて母親が乳房を赤子の口にふくませるとチューチュと吸って飲み込みます。そして、おしめが当っていようといまいとお構いなしに、大小便を垂れ流します。寝る子は育つの諺どおり昼夜をわかたずただねむります。お腹がすいたり、身体がいたかったりすると手足をバタバタ動かしながら泣き叫んで保護者にそれを知らせます。呼吸・飲食・排泄等動作の各本能があるからこそ、人は
命を保ち続けることができるから、これらを個体維持本能といいます。また、生殖の本能によって男と女が結合した結果、子供を産み集団の本能によって家族が相集りて生活をするので種族を断やすことなく命を親から子へ、子から孫へと伝えて行くので、生殖と集団の本能を種族保存
本能といいます。呼吸は人が生れたとき、すでにもっていた能力で行われましたが、他の本能も同様に生れたときには、すでにもっていた能力であって「それを誰が与えてくれたのか？」を調べても判りませんから「人の命を守り種族を保持するために、御先祖が与えてくれた」と想像するより他に方法がありません。本能がどのようにして与えられたかを科学的に証明することができないので、脳生理学や心理学では、現実の事実のみを表現して「生得的に」、つまり生れたときすでに持っていた、といっています。また、本能は遺伝だといわれます。たしかに人間
には遺伝子によつて親から子へと色々の遺伝が伝わっていることは良く知られています。しかし、世界中の人類を見わたすと、皮膚の色が黒い人、白い人、その中間の東洋人、眼の色にしても、黒い目や青い目、毛髪にしても、チリチリに縮れていて黒い毛、縮れてはいるがそれほどでない赤い毛、まっすぐに延びていて黒い毛など、まちまちです。雑多な遺伝のうち、世界中の人に共通しているものがあります。全世界のすべての人類が全く同一の個体維持本能と種族保存本能を与えられて生命を保ち種族を繁栄させている事実を考えるとき、どのようなメカニズムでこれらの本能だけが揃いも揃って全く同一の条で遺伝するのか？は判りません。だから本能は御先祖から生得的に与えられたと表現するよ
り他に仕方がありません。
そして本能は生誕から終焉（死）まで持ち続け、その働きによって生命を支えて健康を守り、家庭を作り国 家をも形成している事実までは科学的に証明できるから「本能の営み」までが科学的に追求できる項点であって、誰が与えてくれたかは科学の手が及びません。しかも、本能から発生する欲求は常識脳のカで一時的に抑正することはできますが、それを人から取り外すことも変更するこ
とも全然できないし、どうすることもできません。本能は潜在意識脳の命令によって発動するから「人間を論じるときは脳の働きと本脳の働 きとを項点とし、そこから出発して細部に及ぶペきである」と考えられる。本能は生命を守り種族を繁栄させるためにあるのですから、当然のことながら本能から発生する欲求は充足されないと心身に甚大な悪影響を及ぼすので、必ず充足されなけれはなりません。呼吸が三分とまれば失神し、尚止り続ければ終焉が訪れるように。しかしそのとき満足さえすれば良いというものではなく「正しく充足する」でなければなりません。「本能はその欲求を充足しても充足しても、繰り返し繰り返し発生する」点が他の欲求と異なっています。特に個体維持本能の欲求は毎
日りズミカルに充足することが健康を増進します。本能は「生得的に冬えられており、年をとって終焉に到るまで持ち続け、個体維持本能によって生命を保ち、種族保存本能によって子女を生み育て、家庭を作って子孫を断やす事なく『種のいのち』を後世に残す」。本能から発生する欲求は、それを充足させて満足しても同一の欲求が繰り返し繰り返し発生する。個体維持本能が充足できないと、多くの場合、肉体に病気な
どの異状や生命の危険をもたらし、種族保存本能が充足できないと、心の平衝を乱し、極端なときは精神に異状をもたらす。本能欲求は心の底 から自然発生的に生じ、理論や説得によって意識的にしばらくの間抑えることはできるが、これを変更させることは不可能に近い、したがって
本能はいつも正しく充足しなければならない。このように、本能は人の一生に重大な影響をもたらしている。新生児は誕生するや否や、母の胎内とことなり今度は自分のカで生きて行かなければならないから潜在意識脳はそのとき最早活発に働いています。しかし空腹になって乳をすい
たくても母親が与えてくれなくては飲む事が出来ません。そこで、泣き叫んで乳を要求します。母親はその声を聞くと「よしよし」といいながら乳を与えます。赤子の顔を見ながら「お前は良い子だね」などと話しかけ、子供と母親との間の交流がここから始まります。その言葉の意味
を具体的に理解できなくても、子供の潜在意識は、母親の気持ちを感じ取り、同時に母親から、子供は愛される楽しみを覚えます。
四種の呼吸法訓練。
一、長出入息呼吸法・・・・出る息、入る息、どちらも、できるだけ細く長く深く呼吸する。一呼吸に二〇秒から三〇秒、一分くらい、時間 をかける。
二、長出息呼吸法・・・・・出る息のみを出来るかぎり細く長く深く吐いて、吸う息はふつうに吸う。
三、反式呼吸法・・・・・・ふつうの呼吸とちがって、息を吸うとき、腹部をひっこめ、息を吐くとき、腹部をふくらませる。ちょうど 逆になります。
四、強短息呼吸法・・・・片方の鼻孔を指で押さえて閉じ、片方の鼻孔で、強く短く呼吸する。
西野流足芯呼吸: 意識で息を足の裏からゆっくり吸い込んでいったん丹田に入れ、さらに肛門、背骨を上らせて、頭頂に達したらそこで軽く息を止め、体の前面を再び丹田までおろして、そこから足芯に向けて吐き下す呼吸法。