光と光速の話
雷はまず光が見えてから、その後に音が聞こえます。また、鏡をパッとむけた瞬間に夜空の星が映ることなどから、ギリシャ時代のアリストテレスたちは、光は瞬間的に伝わるものと考えました。ところがガリレオはその考えに疑いを持ち、「新科学対話」の中では、遠く離れた二つの地点で光（ランプ）の信号をやりとりすることによって（原理的には）光速度が測定できると書いています。実際に光の速さが測定されたのは、デンマークの天文学者レーマーによる観測が初めてです（千六百七十五年）。木星の第１衛星イオは木星の回りを回転しており、木星の後ろに隠れると地球からは見えなくなります。この現象を「食」といいますが、その食の周期はイオの公転周期四十二時間二十八分と予想されます。ところが実際の観測では、最大二十二分もズレが生じます。これは地球が木星に最も近づいた時と最も遠ざかった時の距離の差（簡単にいうと太陽の回りを回る地球の円運動を考えた場合の直径の距離）を光が有限の速さで伝わることが原因となって生じると考えられます。このことから、レーマーは光の速さを秒速二十一万四千キロと結論しました。この値は、現在の精密な値と比べても三割しかずれていないという驚きべきものです。
光速について
速くなるということは、その分運動エネルギーをたくさん持っているわけですから、エネルギーをどんどん補給しなければなりません。その方法、例えば光速の六十％まで加速するには、最低でも静止質量の二十五％に相当するエネルギーを運動している物体に注入しなければなりません。これが光速の八十％までということなら、静止質量の約三十三％必要になります。現在、私たちが手にできる最大のエネルギー源は核エネルギーですが、それでさえ静止質量の０、１％程度しかエネルギーには代えられていないことを考えると、いかに多くのエネルギーが必要かわかるでしょう。簡単にいうと銀河鉄道スリ−ナインでおなじみのアンドロメダ星雲まで行くのに、最低どれくらいのエネルギーが必要となるか計算してみたら、その総重量１００ｋｇの物体を運ぶとしたら、実に八千トンもの物体の静止質量をすべてエネルギーに変換することが必要だという事実に気がつくと、銀河鉄道スリ−ナインに乗れるのはマダマダ先のことか・・・。今後の科学の発展に期待したい。もちろん、燃料を積んでそれを燃やしながら飛ぶロケットなどの方法では、さらにそれのなん桁も大きなエネルギーが必要になることは言うまでもないでしょう。 |
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