意識という言葉は、ラテン語のコンシャスネスからきています。「コン」とは「自己」のこと、「シャス」とは「知る」という意味です。 古代 からの意識とは、「自己を知る」ことになります。潜在意識の形成は、脳の形成が重要となります。人間の脳は、もっとも深いところに脳幹が
あります。これは、別名「は虫類の脳」と呼ばれているように、生物の生命操作を行う部分で、自律神経系の交感神経と副交感神 経に連動して います。その外側に、大脳の本体である古皮質が脳幹を包み込むようにして存在しています。
人間は、この脳幹と古皮質で誕生してくることは前に述べました。
http://homepage2.nifty.com/stn/surimu11.html
http://homepage2.nifty.com/stn/surimu12.html
誕生してから知能の本体である新皮質が形成されます。
この新皮質の形成過程が人間の意識にとってきわめて重要だということが明らかになってきているわけです。ひとことでいえば、人間の脳は、愛にきわめて敏感に反応して
成長していくということになります。むしろこれは、人脳は進化する間の脳は愛情がなければ成長しないと言い換えた方が適切なのでは・・・。
http://homepage2.nifty.com/stn/g24hilingu.html
認知心理学によれば、生まれたばかりの脳は、母の愛情にとりわけ敏感です。
自分の望みをすべてかなえてくれる愛を一心に受けられるということが、誕生という孤独感から自分を解放してくれるすべとなるわけです。 自分に対する愛情を注いでくれる母親という存在が脳の発育にとって必要条件になるということは、言葉を変えれば、脳の発育にとって甘えの
環境がもつとも大切だということになります。
よく、「赤ん坊をそんなに甘やかせてはダメだ」という人がいます。
これは一見正しいようですが、実は、脳の本質を知らない人の意見といえます。
http://homepage2.nifty.com/stn/g31sotu.html
人間の脳は目標指向型にできていますから、脳はいつも一定方向を向いているわけで、その意味で人間の脳はつねに前向きで、強い目標達成意 欲をもっていることになります。誕生して新皮質が成長を始める一年前後の間は、脳にとって本来的な機能である目標指向性が成長するときで
もあります。その時期に必要な脳の栄養は、母の愛なのです。甘えを許された脳とそうでない脳では、性格にこれほどの差が出ます。
愛を一心に受け、自分の甘えがすべて受け入れられる環境に育った脳は、自分が思うままに世界が動くことが実感できますから、前向き・積極 的になります。だからおとなへと成長する過程で、この脳はつねに行動的です。自己が何でもできるという強い思い込みが脳の全体を支配して
いますから、ことに当たって不安が立ち上がらず、リスクに対して挑戦的で勇気があり、明るく元気で外向的な性格を形成します。
http://homepage2.nifty.com/stn/genki29.html
http://homepage2.nifty.com/stn/genki40.html
http://homepage2.nifty.com/stn/genki03.html
一方、甘えを許されず、愛情を受けら れなかった脳は、ほしいものが手に入らず、自信を失って自己を悲観的にとらえます。ことに対してつねに不安感が先に立ち、自分に自信がな
いために自己の意見を主張できなくなって周囲におもねり、消極的で遠慮がちで受け身的になります。自分で問題を処理する気持ちがなく、内 向的で根の暗い性格を形成します。つまり、性格が外向的か内向的か、また積極的か消極的かは、一歳前後までの成長環境でほぼ決まってしま
い、それが一生続くことになります。
http://homepage2.nifty.com/stn/sinpi1.html
母の愛を十分に受けて育った脳は人間が好きですから、たとえ挫折にあっても落ち込まず、立ち上がりが早くて人をうらむことがありませ んから、明るく苦況を脱しますし、落ち込みは浅いのです。結果として、苦況と挫折が人生のよき思い出となり、教訓となります。つまり、自
己の苦況により世の中の人のよさにいっそう気がついて、人への愛はさらに高まることになります。しかし、愛を少ししか受けなかった脳は、 自分の立ち上がりが信じられず、自分に自信がなく、人を疑って助けを受けにくいため、苦況は一段と強まります。したがって、発生した苦況
からの脱出は難しく、結果として落ち込みは激しくなって、深い谷間人生を形成しがちです。
http://homepage2.nifty.com/stn/genki43.html
http://homepage2.nifty.com/stn/surimu07.html
また、一度の苦況でも、いっそう人をうらむことになって周囲を疑い、人間と社会に対して不信感を増していきます。 また、愛を十分に 受けた脳は、自分自身が頑張って努力を重ねることを惜しみませんし、また人間が好きですから、自分を越えた者に対しては尊敬の念をもつよ
うになります。しかし、甘えを受け入れてもらえなかった脳は、自分を越えた者を絶対に許すことができません。こうして見てくると、人間の 個性というか、固有の「気」というものは、この世に誕生してからの一年が勝負であるということがわかってきます。つまり、ことに当たって
どのような対応をするのかということが大切なのではなく、どのように反応するのかということが決め手になることがわかります。これをEQといいます。EQというのは、ダニエル・ゴールマンという人が提唱しました。
これまで人の能力を測るには、IQというものを使っ ていました。いわゆる知能指数です。これは、算数能力と言語能力から知能を指数化して示したもので、確実に知能の程度を調べることが
できます。
でも、それがいったい何になるのだというのがゴールマンの主張でした。
IQは、確かに頭のできを確定できる。でも世の中 には、知能指数が低くとも成功している人は多い。その反対に、知能指数は高いが事業に失敗した人も多い。どう考えても頭のいい者ほど
ものごとをいろいろに考えすぎて、成功しにくいようにも見えます。各種の数字で、それを証明しているものがかなりあります。
http://homepage2.nifty.com/stn/d12yaseru.html
こうした成功者の類型を調べると、どうやら楽観的な人間が多いというのが、ゴール マ ンの直感でした。それをより精密に調査し、自分に対して生じたものごとを説明するパターンを分類しました。こうしてできあがったのがEQで
す。さて、そのEQとは、「情緒指数」ともいうべきものです。ゴールマンは、EQの定義として次の五つを挙げています。
・自分の本当の気 持ちを自覚し、納得できる決断を下す。
・ショックを自制し、不安や怒りの感情を抑える。
・挫折したときにも楽観主義でいられる。
・他人の気持ちを感じられる。
・調和できる社会的能力。
☆ 意識と気&甘えの環境の話(2)
ゴールマンは過去二五年の調査から、EQの高い人は、必ず人生で成功することを証明しました。つまりEQは、別名「人生の成功指数」といってもいいわけです。このEQを見ると、驚くべきことに気がつきます。何とEQは、前の項目で述べた誕生一年前後に母の愛情をたっぷり受け取った脳と同じ特徴を示しているのです。EQの高い人は前向きで積極的で、人を愛する気持ちが強く、挫折に対して抵抗力があり、社会的に協
調できる。それは、自分の力を信じている脳が、人が好きで社会が好きだからです。それが成功者に必要な人間的能力だというのです。つまり人生の成功者になるかどうかは、誕生一年前後の母の関わり方が決定的に重要だということになります。何をやっても成果を出す、どんなこと
を行っても結果を出す人間をつくるならば、もはや母の役割に関心をもたざるを 得ないことを、ダニエル・ゴールマンは証明したことになります。こうした観点から、幼児教育というものを見直さなければなりません。いまの日本で、愛情ある子育てがいかに大事かを考えるには、子育てと幼児教育までさかのぼって考えなければならないところにきています。何ごとに取り組んでも結果を出す人間。どんな状況でも成果を生み
出す人間。成功をもたらす人間的能力とは、煎じっめれば脳の力です。つまり、人間的能力は「人間的脳力」で、それはEQで指数化できるので す。このEQこそ「気」だといえます。まさに「気」というもの
は、実態の見えないもので、何らかの状況に合わせてかもし出されるものです。人との出会いのとき、ものごとに対する対応、ショックに遭遇した場合の心持ちや姿勢。また、どのようなときにカッと怒りの感情がわき上が
るのかといった問題など。あるいは消極的な「気」が強いか、それとも、どこまでも明るく楽観主義的な「気」が強いかといったこと。それら はみな、EQで示すことができるのです。だからポイントは、こうした高いEQ心をどう身につけるか、それが今後のわが国にとっての課題となり
ます。潜在意識を変えなければ、自分を変えることはできません。意識という言葉は、ラテン語で「自己を知る」という意味。「自己を知る」、 すなわち自分で自分のやっていることをはっきりと認識しているといった場合、それは顕在意識の範囲内のことです。フロイト以降、人の意識
には、自分でも気がっかない無意識の領域、つまり潜在 意識があって、これが私たちを動かしている大きな原動力となっています。私たちがふ つうに考える意識、要するに顕在意識は、思考や連想、知覚、評価、決断などの機能が働く領域であり、これらは意識全体の三パーセントを占
めています。ところが、何かを見たり聞いたりして、無意識的に体験した記憶は、ほとんどが潜在意識の領域に入っていき、これが意識全体の 九七パーセントを占めることになります。私たちの心の本体の九七パーセントは、自分が自分でとらえることができない心の部分だということ
になります。自分の性格を変えたいと思って、あれこれ 試行錯誤をする人がいますが、そのほとんどの場合は、三パーセントの顕在意識の部分 を変えようとしています。しかし、表に出ているところをいくら変えようとしても、心のほとんどを占めている潜在意識を変えないかぎり、自
分を変えることはできません。自分を動かしている本体 の潜在意識を変えることこそが肝心なのです。これが、「意識の浄化」ということです 。
意識と気&甘えの環境の話(3)
潜在意識の浄化に欠かせないフィードバック
潜在意識を浄化するには、いったいどうしたらよいのでしょうか。第一段階として、 潜在意識の取り入れ方について考える必要があります。アメリカの数学者で、サイバネティクスという理論を一九四七年に提唱したノバート・
ウィナーという人がいます。サイバネティクスは、コンピューター工学やシステム工学、情報理論などではもちろんのこ と、社会科学の分野で もよく知られた理論で、一般的には、機械と機械、あるいは機械と生物間における通信、制御、情報処理について考える学問です。サイバネテ
イクスという言葉は、ギリシャ語で「舵を取る人」という意味の言葉から命名されたといわれています。その言葉通り、サイバネティクスとは、ある目標に向かって進むとき、常に自分の進む方向と速度、そして目標との兼ね合いを見ながら、舵を取るような自己制御システムに関する総
合的な科学であると説明できます。自己制御システムを考えるとき、重要なものがフィードバックという概念です。システム工学でいうフィー ドバックとは、電気回路で出力の一部を「情報」として入力側に戻すことで、出力を調整することをいいます。これをわかりやすく説明すると、
例えばエアコンや冷蔵庫などの温度調節が挙げられます。冷蔵庫に使われているサーモスタットは、膨張率の違う 二種類の金属を貼り合わせたバイメタルなどを利用して、温度に応じて電気回路を切ったりつなげたりする装置のことで、この働きで室内の温度がほぼ一定に保たれる仕組
みになっています。つまり、温度が1がると、機械自体がそれを感知して温度を下げるように冷却装置を働かせ、 温度が下がりすぎると、今度は冷却装置の回路を切って、温度を上げるというような自己制御を機械が自動的に行うわけです。最近のロボット工学でも、サイバネテイク
スヤフィードバックの理論はなくてはならないものです。二足歩行ができるロボットが開発されて話題になりましたが、この場合でも、ロボッ トは自分の身体の傾き加減を感知しながら、身体が倒れないように歩行するという、フィードバ
ックの理論を実践しているのです。フィードバ ックという自己制御は、機械だけが行っているわけではなく、すべての生物が本来もっている機能でもあります。前に触れた、血圧や体温を一定に保つホメオスタシスという生理的な働きは、フィードバックによる自己制御の典型です。また、フィードバックやサイバネティクスを工学以外の分野に取り入れた例をコンビニエンス・ストアの経営にも見ることができます。コンビニで商品をレジにもっていくと、商品についてい
るバーコードを読み取って、金額が提示されます。実はこのとき、その商品がその店で売られたことが情報として管理され、瞬時に在庫管理や 商品の発注に利用されています。このようにフィードバックとは、工学に限らず、「結果に含まれる情報を原因に反映させ、調節をはかる」
という、システム全般に適用できる方法論のことをいいます。フィードバックをするときに肝心 なことは、出力として出された「情報」を入力 に戻すとき、その「情報」に歪みや汚れがあってはならないということです。歪みや汚れが入った「情報」は、すでに正確な「情報」ではあり
ません。これをそのまま取り入れてしまうと、間違った自己制御しかできなくなります。コンピ ューターは、人間がするのに何年もかかるよう な計算を短時間で処理してしまうほど優秀ですが、コンピューターに最初に入力した情報が間違っていると、間違った答えしか出てきません。そこで重要なことは、入力されるべき「情報」にゴミが入ってはならないこと、もしもゴミが
入ってしまったら、これを取り除いて、正確な 「情報」にしてやることです。このことをノバート・ウィナーは、ゴミという英語「ガーペイジ」を使って、「ガーペイジ・イン・ガーペイジ
・アウトの原則」と表現しました。もしも心の中の潜在意識にゴミが入ってしまった場合、コンピューターと同じように、自分の心の本体から 出てくる答えは、すべてが間違っていることになります。近頃は、コンピューターもウイルスに「感染」するようになり、コンピューター内部が破壊されて、使いものにならなくなったりしますが、人間の心もその通りで、一回潜在意識が汚
れてしまうと、そこから出てくるものは歪んだもの、間違ったものだけになります。人類の精神性は進歩したかここで考えなければならないのは、ゴミを取り除くということ。つまり心を
清めるという意識の浄化は「気」の浄化うことです。人類が高等な文明をもった五千年前から「愚かなもの」、それは人間でした。
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