石のもつ不思議な力を感じ取る人！
オブシディアン（黒曜石）
●神からのメッセージを受け取る力があるといわれています。メキシコはオブシデイアンの主産地ですが、古代メキシコではオブシデイアンを磨きあげて鏡をつくり、神託を受けるのに用いていました。
また中世ヨーロッパでも、オブシデイアンの円盤が天使のメッセージを伝えるといわれました。
ジャスバー
太陽信仰のあったインカ帝国では赤いジャスパーが「太陽の色をもつ石」と考えられ、太陽の祭りに使われたといいます。古代ペルーでも身を守る石として魔除けや護符として利用されました。ヨーロッパでは古くから出産のシンボルと考えられ、ジャスパーをお腹の上に置くと出産が楽になるといわれました。
オリビン（ペリドット）
古代エジプトで「太陽の石」と考えられたのがオリビンです。日照不足で飢饉になると、ファラオはオリビンを通じて太陽神に晴天を祈ったといわれています。また太陽の力が宿ったものとして、悪霊・悪魔の退散にも用いられました。
ムーンストーン（月長石）
ムーンストーンは世界番地で月と関連づけられてきましたが、インドでも古代から「月が宿った石」として崇められてきました。神官は満月の夜にこの石を口に含んで祈祷を行い、神託を得たといわれています。また農夫はムーンストーンを農具につけ、豊作祈願のお守りにしていました。
辰砂「しんしや」（シンナバー）
縄文時代後期から、死者を赤く塗る「朱施」という風習がありました。死者の再生を願い死霊を封じるためのものといわれ、この朱施に使われたのが辰砂でした。辰砂は不老長寿をもたらす力があるとされ、秦の始皇帝が徐福に不老不死の霊薬を探させたのも、辰砂を求めてのことだったといわれています。
さまざまな色が愛好される水晶
水晶を上から見ると、2種類の三角形がひとつ置きに組み合わさって六角柱のような形に。
●水晶には黄色や紫、異など、さまざまな色のものがあります。こうした色は、水晶を構成するケイ素と酸素以外に、微量の元素が混入することから生じます。
黄水晶と紫水晶
アメトリン
●ひとつの石のなかに、シトリンの黄色とアメシストの紫が同居するアメトリン。変り種として知られる。
シトリン（黄水晶）の黄色、アメシスト（紫水晶）の紫色は、鉄分が含まれていることによるもの。煙水晶と呼ばれる濃い褐色のものは、アルミニウムの混入によります。褐色よりも暗く色が黒いものは、黒水晶と呼ばれます。
水晶は、岩石の空洞の内側にびっしりと生えていることがあります。これはマグマが固まるときに、ガスや水が空洞をつくり、そこに水晶が育ったもの。ブラジルでは人が入れるほど大きなアメシストドームが見つかることがあります。
紫色は、ごく微量の鉄分が含まれていることによるもの。熟を加えると、黄色に変色する。
水晶と石英
石英の英学名は「クォーツ」Quartz 水晶「ロッククリスタル」 RockCrystal
●水晶と石英は同じ鉱物だが美しい六角形の結晶を水晶という
水晶と石英は同じ珪酸塩鉱物です。一般的に、石英のなかでも美しい六角形の結晶に成長したものを水晶と呼びます。石英の英学名は「クォーツ」Quartzですが、水晶は「ロッククリスタル」 （ROCkCrystal）。これはギリシャ語で「氷」を意味する「krustallos」 からきたものです。石英は珪酸分の少ない火成岩以外なら、ほとんどの岩石に見られます。熱水に溶け込んでいた珪酸分が、環境の変化によって冷え固まり結晶化したものです。この結晶が自由な空間で成長したのが水晶です。一見すると、六方晶系の結晶のように思えますが、実は2種類の三角形が組み合わさって成長したもので、三方晶系に分類されます。水晶が成長する際、シリコンと酸素が螺旋式に積み重なっていきますが、その重なり方が右回りだと「右水晶」、左回りだと「左水晶」といいます。これは自然の偶然によって決まるもので、統計を取ると、右・左ともほぼ半々の割合になります。
人気の高い日本式双晶
↑人気の高い日本式双晶
人気の高い日本式双晶は多くの場合、ひとつの結晶が平板状になっている。山梨県の乙女鉱山で産出。
水晶は日本にも多い鉱物で、なかでも日本式双晶（ジャパニーズツイン）と呼ばれる、美しいハート型をした結晶は有名。他の国でも採れますが、明治時代の日本で多産したものがよく研究されたので、「日本式」という名前がつけられました。ただし、現在ではあまり大きなものは産出せず、希少価値が高まっています。
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